2010年5月、トルコ3都市で開催された『てけれっつのぱ』(柏艪舎2006年刊)の
舞台公演に同行した原作者、蜂谷涼さんが、その模様を綴って下さいました。

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「てけれっつのぱ」公演チラシ
アティラ イルハン劇場前にて脚本の瀬戸口郁さん、演出の西川信廣さんと
 14日のゲネプロを経て、15日には、いよいよトルコ公演初日の幕が上がった。舞台の両袖には、台詞をトルコ語で表示する大型スクリーンが設置され、俳優さんたちは日本語で芝居する。冗談にしろ、悪態にしろ、トルコでの慣用句に上手く翻訳されているため、日本での上演時と同じように笑いが起きるところではしっかり観客の笑い声が聞こえたし、クライマックスともなると、洟を啜り上げつつ目頭を押さえている人も多かった。
「ああ、良かった。通じた、伝わった!」
トルコ人観客の反応に、私は涙をこらえるのに苦労したものだ。しかも、トルコ人は日本人よりもずっと感情表現が豊かであるらしく、カーテンコールでは嵐のごとくスタンディングオーベーションが起きた。そこにいたって、私の涙腺はあえなく決壊。文化座代表の佐々木愛さんに「今日は日本から原作者の蜂谷涼さんがいらしています」と紹介されて、来場のお客様にご挨拶するにも、涙が後から後からあふれ出る始末だった。


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