スペイン紀行
ヘミングウェイとともに内戦の跡を辿る
日本におけるヘミングウェイ研究の第一人者による、待望の紀行文!
スペイン内戦の体験をもとに書き上げられたヘミングウェイの名作、『誰がために鐘は鳴る』彼はなぜ、そこまで強くスペインに魅かれたのか。
世界の激動期にあって、“行動する作家”としてその激流に身を投じたヘミングウェイ。スペイン内戦の戦地を辿りながら、その足跡を追う。
「私はこの一年、自分が信じるもののために闘ってきた。もし我々がここで勝利すれば、いたるところで我々は勝利するだろう。この世界は美しいところであり、そのために闘うに値するものであり、この世から去ることは無念だ」と『誰がために鐘は鳴る』のロバート・ジョーダンは死を前にして思う。
「もし我々が勝利すれば」という希望的な憶測が書かれているが、ヘミングウェイが『誰がために鐘は鳴る』を書き出したのは、スペイン内戦終結後であり、共和党政府軍の敗北を確認してからのことである。にもかかわらず、このような希望を書いたのは、単なる内戦における勝敗を語っているのではなく、さらに戦後に続く長い戦いにおける勝利を思い描いていたからだろう。
〈2018年3月3日 図書新聞〉
今村楯夫:著
発売月:2017年10月
定価:1650円(税込み)
46版 ソフトカバー
頁数:208ページ
ISBN:978-4-434-23908-3