誰もが体験した戦時下の狂気をわしづかみにした散文詩集。
太平洋戦争中、軍国主義下での少年たちへの身辺には、差別を是認するものがあった。
とくに炭鉱地帯では朝鮮人への偏見、差別が横行していた。
さらに天皇という絶対的な権威のもとで、正邪をはかるということもまかり通っていた。
こうした状況下では、このことが少年たちの人格形成に、少なからぬ影響を及ぼした。
そんな人々が成人し子育てをし、その子に悪しき影響を与えただろうことも当然だった。
このような軍国主義下での歪曲された体験は、その期間だけの歪曲にとどまらず、
親から子、子から孫の代までも内的外的に引きずられていくものであろう。